【保存版】大浴場を常に清潔に保つ清掃マニュアル|温浴施設管理者のための実践ポイントと頻度の目安

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大浴場は温浴施設の顔ともいえる空間であり、常に清潔な状態を維持することが利用者の信頼と満足度に直結します。しかし、どのように清掃すれば良いのか、どのくらいの頻度が適切なのか、悩まれる管理者の方も多いのではないでしょうか。本記事では、温浴業界の製品メーカーとして45年以上の歴史がある【株式会社ダイレオ】監修の基、現場で即実践できる清掃の基本手順やプロが押さえるべきポイント、設備と連携した効率的な清掃方法まで、温浴施設運営者向けに詳しく解説します。

目次

大浴場の清掃が重要とされる理由

利用者の信頼とリピート率に直結するため

清掃状態は利用者の体験価値に大きく影響します。初めて訪れた温浴施設で、髪の毛や水垢が残る大浴場を見たら、それだけでリピート意欲を失ってしまうでしょう。
反対に、ピカピカに整えられた浴場は安心感を与え、「また来たい」という印象を残します。口コミサイトやSNSでも「清潔感」は高評価に繋がる重要な要素であり、清掃は見えない集客手段と言っても過言ではありません。

温浴施設特有の衛生リスクがあるため

高温・多湿という環境は、レジオネラ属菌やカビ、ぬめり(バイオフィルム)の発生を促します。特にレジオネラ属菌はエアロゾルに含まれて吸入されることで、重篤な肺炎(レジオネラ症)を引き起こす可能性があり、厳重な衛生管理が必要です。

厚生労働省では以下の対策を推奨または基準として明示しています

  • 残留塩素濃度0.4mg/L以上の維持
  • 浴槽水の毎日の換水と消毒
  • 配管・シャワーヘッドの定期的な清掃
  • 換気設備による湿気と飛沫の抑制

参照:厚生労働省「レジオネラ対策のページ」https://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/0000124204.html

保健所・衛生監査のチェック対象であるため

公衆浴場法に基づく保健所の監査では、水質検査に加えて清掃記録の提示が必要です。とくにレジオネラ属菌対策の履歴(洗浄頻度、薬剤、担当者など)が記録されていない場合、指導や営業停止処分の対象になることもあります。

汚れの放置が設備の劣化を招くため

皮脂汚れや水垢が長期間放置されると、浴槽や床材に染み込み、素材の劣化・腐食が進行します。石材や木材のような素材はとくに影響を受けやすく、修繕や交換に多額の費用が発生する原因となります。日々の清掃で長期的な設備保全が可能になる点も見逃せません。

清掃頻度と人員体制の目安

日常清掃は2〜3名・所要時間2〜3時間が標準

大浴場の清掃は主に営業時間外に実施され、2〜3名で2〜3時間程度が一般的な所要時間です。作業内容は、浴槽・洗い場・床・鏡・排水口・脱衣所と多岐にわたり、状況によっては一人で3時間以上かかるケースもあります。

週次・月次の定期清掃で手が届かない箇所をカバー

天井や換気ダクト、照明器具など、日常清掃でカバーしにくい場所は週1回~月1回の定期清掃で対応します。あわせてろ過装置や配管の簡易点検を行えば、設備トラブルの予防にもつながります。

年1回の大規模清掃は専門業者の活用が効果的

スケール除去や配管内部の高圧洗浄など、専門的な作業を伴う大規模清掃は年1〜2回の頻度で外注することが推奨されます。とくに感染症対策が求められる近年では、清掃後の水質検査を含めたレポート提出を行う業者も多く、行政対応にも有効です。

清掃業務を委託すべきか自社対応かを判断する

清掃体制の構築は施設の規模や運営方針に左右されます。

  • 委託:作業の質と人手不足への対処、夜間対応がしやすい
  • 自社:コスト削減・日常点検と連動した柔軟な運用が可能
  • ハイブリッド型:深夜帯は委託、日中は自社対応という分業体制も有効です

清掃の質を高める実践ポイント

洗剤や清掃道具は素材と汚れに応じて使い分ける

素材に合わない洗剤は劣化や変色の原因になります。たとえば、酸性洗剤は水垢には有効ですが石材を傷める恐れがあります。汚れの種類と素材に応じた「最適な組み合わせ」を知ることが品質向上のカギです。

擦り洗いと高圧洗浄の使い分けでレジオネラ属菌を抑制

バイオフィルム(ぬめり)除去には物理的な擦り洗いが最も効果的とされています。高圧洗浄は広範囲の作業を効率化できますが、除菌目的では不十分な場合もあるため、使い分けが重要です。

参照:厚生労働省「レジオネラ対策のページ」https://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/0000124204.html

温度・水質と連動した清掃判断で効率化を図る

湯温・利用者数・水位・濁度などのデータと連携して、最適な清掃頻度をシステム的に判断する仕組みがあれば、業務負担を大幅に軽減できます。たとえば、スマホやPCから遠隔監視できる設備を活用することで、トラブル前の予防的清掃が可能になります。

清掃手順の標準化と新人教育の仕組みづくり

マニュアルとチェックリストに基づく標準化は、属人化を防ぎ、清掃品質の安定をもたらします。動画教材や写真付きマニュアルを活用すれば、短期間での即戦力育成も可能になります。

清掃と設備管理はセットで考えるべき理由とメリット

ろ過装置・給湯システムの異常を早期に発見できる

日常清掃の中で発見される細かな異常は、重大な設備トラブルの前兆である場合も多く、現場での目視点検が重要です。定期的な清掃と設備管理の連携によって、メンテナンスコストも抑制できます。

導線に合った設備配置が清掃効率を左右する

シャワーホースの長さ、排水口の位置、床の勾配など、機器の配置は清掃の手間を大きく左右します。現場スタッフの作業効率を意識した設計が、長期的な運営に効果を発揮します。

遠隔モニタリングと清掃タイミングの最適化

IoTによる水質監視・警告通知の活用で、「汚れ始めたタイミング」に清掃を実施する仕組みが構築できれば、人手の少ない現場でも、高水準の清掃体制を維持するうえで大きな武器となります

設計段階から「清掃しやすい施設」を目指す視点

  • 清掃導線を遮らない一方向の作業動線
  • 洗剤・用具の保管場所の確保
  • モップ作業を阻害しない段差のない構造
  • 排水口の配置と勾配設計

これらの工夫はすべて、ゼネコンや設計事務所と早期に連携することで実現可能です。

まとめ

清掃は施設の美観を保つだけでなく、安全性・運営効率・利用者満足に直結する極めて重要な要素です。日々の清掃を“作業”ではなく“仕組み”としてとらえ、標準化やデータ連携を導入することで、属人的な負担を減らしつつ高水準の衛生管理が実現できます。
これからの温浴施設運営は、「清掃」を戦略的に考え、実施していくことが重要です。

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この記事を書いた人

創業以来、温浴業界を中心に高品質な商品を提供してきました。現在は介護施設や食品工場向け商品も展開し、時代に応じた開発を継続。常に顧客満足を追求し、必要とされるメーカーを目指しています。

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