NewsLetter 2022年2月号 温泉の効能について 

豆知識

 温泉は様々な効果がありますが、普通のお風呂でも同様の効果があることがあります。温泉だからこその効果は、実は結構限られています。そんな温泉の効能についてお話させて頂きます。
 まず、温泉で(医学的な)効果効能を言えるのは炭酸泉(二酸化炭素泉)のみだと言われています。二酸化炭素が血中に入ることにより、心臓に負担をかけずに血行を良くする効果があります。以上です。
 あれ?って思われる方が多いのではないでしょうか。温泉紹介のテレビ番組等で「効能は神経痛、筋肉痛・・・」とか言っているじゃないかと。あれは、実は効果効能ではなく、正しくは適応症と言います。適応症とは「温泉療養をおこなってよい病気や症状」のこと。わかりやすく言うと「この泉質は神経痛に効果が期待できますよ。軽減される可能性があります。治るとは言えませんが。」という感じでしょうか。

     適応症には「一般的適応症」と「泉質別適応症」があります。「一般的適応症」は、全ての温泉(療養泉)が該当します。「泉質別適応症」は、硫黄泉やナトリウム-塩化物泉のような泉質名が付く温泉特有の適応症になります。※ほぼ全ての温泉が療養泉に該当しますが、まれに療養泉に該当しない温泉もあります。療養泉に該当しない一部の温泉はこれらの適応症は適用されません。

    そして、入浴することで温泉の成分が体の中まで入るのか、というと基本、温泉の成分は体の中まで入ることはないでしょう。人間の皮膚にはバリア機能というものがあり、お風呂に浸かっていたら体重が1.2倍になった、なんてことは起こらないように、異物が体の表面から体内に入ることをブロックしています。ただ、皮膚の表皮部分には浸透・作用し、それによりいわゆる美肌効果が得られることはあるでしょう。また、体内に入る物質もあります。それは気体成分です。温泉の成分で言うガス成分の二酸化炭素と硫化水素ガスです。これらが血中に入ることで血行が良くなります。

福島県湯岐温泉「岩風呂」は、浴槽の底から温泉が湧きだし、空気に触れる前の温泉を楽しめる

   また、温泉の適応症について2014年7月1日に改訂されました。それにより、今まで適応症に記載されていたことが削除されたり、今までに無かった適応症が増えたりしました。そして温泉分析は10年に1回しなければならないルールになっています。ということは、2022年現在、温泉施設によっては、温泉分析が改訂前の場合と改定後の場合の両方が存在します。もちろん改訂前の温泉分析であれば、改訂前の適応症が記載されており、改定後であれば改定後の適応症が記載されています。ですので施設によっては、同じ泉質であっても適応症の表記が異なっています。

   「一般的適応症」の具体的な(改定後の)適応症は「筋肉若しくは関節の慢性的な痛み又はこわばり(関節リウマチ、変形性関節症、腰痛症、神経痛、五十肩、打撲、捻挫などの慢性期)、運動麻痺における筋肉のこわばり、冷え性、末梢循環障害、胃腸機能の低下(胃がもたれる、腸にガスがたまるなど)、軽症高血圧、耐糖能異常(糖尿病)、軽い高コレステロール血症、軽い喘息又は肺気腫、痔の痛み、自律神経不安定症、ストレスによる諸症状(睡眠障害、うつ状態など)、病後回復期、疲労回復、健康増進」です。

    これらは、概ね体が温まることによって得られる効果です。ですので、温泉では無くても、家庭のお風呂や銭湯でも得られる効果ということになります。また、温泉は温かいとは限りません。25℃以上あれば温泉(療養泉)になるわけですが、25℃の温泉に浸かると体が温まるのかと言いますと温まりません。25℃という温度は一般的なプールの温度より低い温度です。ですが、25℃以上の温泉であれば「一般的適応症」は適用されます。

「泉質別適応症」例えば硫黄泉の浴用の泉質別適応症は「アトピー性皮膚炎、尋常性乾癬、慢性湿疹、表皮化膿症(硫化水素型は末梢循環障害を加える)」となっています。療養泉は10種類。ですが、この10種類の中の「含鉄泉」及び「含よう素泉」の浴用の「泉質別適応症」は無かったりします。※今回は泉質ごとの「泉質別適応症」についての詳しい説明は省かせて頂きます。詳しく知りたい方はインターネット等で調べて頂けましたら幸いです。

  「美肌の湯」と言われる温泉があります。これも温泉の効果のひとつではありますが、適応症には含まれていません。詳しくは前回のダイレオNewsLetter 1月号をご覧下さいませ。

   では、このような適応症は本当に体感・実感できるのでしょうか。施設によっては源泉かけ流しとは限らず、循環ろ過型、加水、加温、消毒等を行っている場合があります。また、加水率は何%までという規定もありません。ということは、加水量が半分以上という温泉が無いとも言い切れません。ですが、適応症はこれらの全ての温泉に適用されています。

   また、温泉ではORP(酸化還元電位)という新たな測定法もあります。簡単に言いますと、湧き出した温泉は還元系であり、空気に触れ時間が経過すると徐々に酸化系に変化します。また、消毒剤は酸化剤のため、消毒された温泉は酸化系になります。還元系の温泉は酸素を取り除く効果、例えば酸化の逆、老化の逆、劣化の逆の現象が期待できます。また、酸化系の温泉はその逆の現象が懸念されるでしょう。

    アトピー性皮膚炎が適応症に記載されている泉質は、硫黄泉と酸性泉です。ですが、現実には様々な温泉で効果があるようです。実際、全国のあちこちの温泉施設で聞いてきました。酸性度が高い温泉(酸性泉)から、アルカリ性の温泉まで。また、泉質も様々でした。そして、私はひとつの共通項を見出しました。それは還元系の温泉だということです。アトピー性皮膚炎の方は、還元系の温泉、すなわち「純温泉」をお勧めします。

      最後に私が発見?した温泉の効果。「酸性泉で髪の毛を洗うとまるでトリートメントをしたかのようにツルツルになる」です。pHが低ければ低い程効果てきめんです。特にpH2以下の強酸性の温泉がおすすめです。一般的には全く伝えられていない効果ですが、機会があればお試しくださいませ。きっと感動されると思います。

      現在の日本の温泉の状況は様々です。知らぬが仏という言葉もありますが、ある程度知ることにより、少し選ぶ力を持って頂ければ、更に温泉を効果的に楽しめるのではないでしょうか。そのような方が増えることを願うばかりです。

執筆 一般社団法人 純温泉協会 
代表 山口貴史
URL www.realonsen.com

草津スカイランドホテル」

群馬県草津温泉の万代鉱泉はpH1.6の強酸性。この温泉で頭を洗えば髪の毛がツルンツルンに。そんな温泉を楽しめる「草津スカイランドホテル」

自然に湧き出す2種類の温泉。奥の浴槽は硫黄泉。手前の浴槽は硫黄&炭酸泉。真ん中の温泉はこの2種の温泉のMIX。鹿児島県霧島湯之谷温泉「霧島湯之谷山荘」